Leica M10 ライカ M10 ファーストインプレッションレビュー
2017/10/13
ライカM10を手に入れて約3ヶ月が経ちました。
まだまだ全然使い込めていないのですが、使用3ヶ月時点での感想を書いていきたいと思います。
伝えたいことが山ほど有りすぎてブログの記事には収まらない、というのが正直な感想なのですが、現時点で纏めきれる範囲で綴ろうと思います。
リリース時のスペック考察やM10入手時の記事も参考にしていただければ、と思います(´ω`)
1.使用感
1)高感度
高感度耐性が飛躍的に向上しています。
Mモノクローム(typ246)の場合はベイヤーフィルターが無いが故もありましたが、M10の場合はカラー撮影機でベイヤー有りです。
ISO6400まで上げても画質的な不満が無くなりました。
フィルムライカ時代の巻き戻しノブを模した感度設定ダイヤルが追加されましたが、このノブで設定できる範疇の感度であれば、実用上の画質的に何ら問題を感じません。
デジタルライカを使用する上で、感度の設定をマニュアルで行うのはノイズの制御という側面が強かったのですが、デジタルカメラの利便性である感度設定オートの使い勝手が非常に良くなりました。
M10導入当初は従来のデジタルM型ライカと同様に歩きながら感度を変更するという事を行っていたのですが、最近はノブの位置をA(Auto)に固定してあります。
メニュー内のISO設定に、最大露出時間の項目があります。
私はここを上画像のように1/焦点距離としてあります。
6bitコードで検出したレンズの焦点距離を使ってシャッタースピードの下限を制御してくれます。
1/焦点距離×2、1/焦点距離×3も出来ますので、長めのレンズの時は逐次変えております。
他のデジタルカメラでしたら当たり前のような機能なのかもしれませんが、このおかげで絞り制御ととフォーカシングのみに意識を集中することが出来るようになりました。
被写体の動きを止めて撮りたい時などはシャッタースピードが最重要パラメータとなりますので、そういった際には感度オート設定は逆に使いにくかったりもするでしょうが、ライカを使って撮るような被写体の多くはこの設定でまかなえるのでは?と思います。
何でも自分で決めて撮りたいからライカを使っている、というのはありますので、そのうち感度を自分で決めるスタイルに戻るとは思います。
ダイヤルの異常で感度がどこか一定値で固定になるというトラブルもちょくちょく耳に入っているので、その不具合が発生し夏休みに重なって撮れない、というのを今は避けている所もあります(´ω`;)
絞りを決め、シャッタースピードもマニュアル指定してしまえば、感度の調整のみで露出制御も可能なのですが、使い勝手が良いとは思えないのでお薦めはしませんw
(※絞り固定、シャッタースピード固定、感度オートにすると、望遠レンズでの手ブレ抑制に効果がありました(2017年10月13日追記))
シャッタースピードはAの位置に固定して親指ダイヤルの露出補正で制御、または中央重点測光のクセを把握している人はカメラを振って適切な露出となるSSを半押しで拾ってくる、という使い方が中心となるかと思います。
ちなみに写真の状態でカメラの電源がOFFなのですが、赤色の●が見えている状態って、普通のカメラですと電源ONの表示ですよね?
これまでのMデジと同じ方向に1クリック動かすと電源ONになり、赤色の●が隠れます。
使用時のトップカバーの見栄えを最優先したが故の表示なのかもしれませんが、少し違和感を感じています。
2)ファインダー
これまでのM型デジタルライカはファインダー倍率が0.68倍でしたが、M10は0.73倍となりました。
フィルムライカのM2,M4以降は標準ファインダーだと0.72倍ですので、極僅かですが倍率が上がっています。
プレスリリース時に視野率が向上しているとの話だったのですが、Mモノクロームと併用していても違いを実感できません・・・(´ω`;)
私がメガネ装着マンだからかもしれませんが、相変わらず28mmのブライトフレームは良く見えません。
M9→M240となった時点で二重像の見え方が向上しており、採光窓からLEDへと光源が変わったブライトフレームも非常に見やすくなりました。
ファインダーに関しては違いが全く分からない状態です。
裸眼やコンタクトレンズ着用者の方の感想を聞きたい所でありますが、メガネ着用者の感想としてはこのような状態です。
アイピースの仕様が変わったおかげで、別売のアダプターを購入しないとマグニファイヤーやアングルファインダー、視度補整レンズが使えなくなってしまいました。
視野の広さに関しては、今まで使用してきたレンズ交換式のレンジファインダーカメラとしてはZEISS IKON ZMが最強だなと思います。
M240系ではM-P(typ240)とMモノクローム(typ246)、M-D(typ262)にしか付いていないフレームセレクタレバーが標準で復活してくれたのは嬉しい限りです。
ですが、ファインダーのどの場所にブライトフレームが来るのかを覚えてしまっているので使ったことはありません(´ω`;)
Summaron 35mm F3.5のM2リリース前のメガネ無しモデルで切り欠きを改造していないものや、L/Mリングとレンズの焦点距離の組み合わせを変えた使い方をする時には有効かと思います。
私の場合は、Rollei Planar 80mm F2.8を装着の際に、50/75リングを使いつつも90mm枠を瞬間的に確認したい時などに便利かも、と思っています。
という事で、あるに越したことはないと思っています。
3)EVF
EVFはM240とは異なり、ライカTLなどに用いるビゾフレックスを取り付けられます。
M240のように互換性のある他社製品はありませんので、純正のEVFを買うしかありません。
互換品がある状態がむしろ異常なのですが、M240で前例があると高価な純正は心理的なハードルが上がるかと思います(´ω`;)
EVFを取り付けると、EVFに内蔵のGPSで撮影場所の座標を記録することが出来ますので、Lightroomでの写真管理の幅が広がります。
私は電池の消耗を恐れてGPS機能はOFFにしています。
そもそも、撮影場所を忘れた事が今のところ無いので、GPS機能は私にとっては全く不要です(ブログ記事に纏めることが多いのと、iPhoneの写真にGPS記録機能が付いているので、細かい座標はさておき、撮影場所を忘却することは考え辛いです)。
M240系でEVF常用を前提とした運用は、α7系が存在する今となっては応答性の問題で少し辛いなと思うのですが、M10とビゾフレックスの組み合わせでしたら、遅延という意味でのストレスは無く使えるかと思います。
ですが、ライカは距離計で撮るからこそ速射性が出るので、撮影補助機能の粋は脱しません。
ノクチルックス0.95の開放近距離や、アポテリート135mmでも距離計を信じて撮影し違和感を感じることはないので、距離計連動レンズでしたらセンサーの捉えている絵でどうしてもピントを確認したい時以外は使う必要は無いかと思います。
その頻度が少ないのであれば、背面液晶のライブビューで十分です。
しかし、距離計非連動レンズを使いたい時も出てくるはずですので、持っていて損をすることは無いはずです。
M240系ですとカメラ前面のライブビュー拡大ボタンのストロークが深く押しづらかったのですが、M10では浅くなっている&ボタン周りのリングの出っ張り構造が変更されており押しやすくなっています。
こういった細かい所の改善もあって、M10+ビゾフレックスを組み合わせた運用をメインに考えるのも大アリなのでは?と感じています。
4)ボタン・メニュー
M240では左側に6つ並んでいたボタン類が3つにまで減りました。
ISOのボタンまで無くなったため運用上の不便さが出るのでは?という不安があったのですが、ISOダイヤルの追加でそれは杞憂に終わりました。
ボタンへの機能の割り付けがよく出来ており、メニューの操作はMモノクロームと併用していても違和感無く行えます。
むしろ今まで使っていないボタンが多すぎたのでは、とすら思いました。
右側のボタンは従来のINFOボタンとして機能し、カーソルキーも使いやすいです。
カーソルキーの下にM240はスピーカーが付いていたのですが、それが無くなったためボディを握った時の厚みの変化を体感し易くなっています。
MENUボタンを押した際の最上位階層にはよく使う機能を配置することが出来ます。
私の現在の配置はこのようになっており、メインメニューより奥に進むことはまずありません。
私はフラッシュのSF40を持っているのでフラッシュ設定を配置していますが、それが無ければよりシンプルになるかと思います。
露出補正も右手親指ダイヤルに設定しているので露出補正の項目を最上位階層に配置しているものの使ったことはありません。
RAW撮りオンリーで連写もしない、レンズには全部6bitコード付き、という状況でしたらMENUボタンを押す必要すら無くなるかと思いますので、初期設定さえしてしまえば、ボディケースで背面液晶を隠してライカM-D的な運用も可能になります。
私自身、ボディケースで背面液晶を隠してしまったのでプレビューすらしなくなり、持ち出す前に設定を確認したら後は家まで液晶を全く見ない撮影スタイルに変わってしまいました。
ただ、背面液晶の見えはM240よりもさらに良くなっており、プレビュー画像の見栄えの良さはピカイチです(RAW+JPEGで撮っているのですが、プレビューで見える撮って出しJPEGのクオリティがこれまでのMデジと違い段違いにクオリティが高いせいもあります)。
「これは傑作が撮れた・・・」と勘違いしてしまうくらいに撮れた絵が綺麗に表示されます(帰宅してLightroomに取り込んで未現像RAWを見て萎えるのですが・・・('A`))。
液晶右側に出ている☆マークはPLAY時にカーソルキーの上下で付けることが出来るお気に入りマークです。
活用したことがないので、Lightroomなどに取り込んだ後、レーティングに反映などがされるのか未確認なのですが、地味な所で機能追加もされています。
2.外観
上はライカMモノクローム(typ246)、下がライカM10です。
M型デジタルライカの厚さはどの部分での寸法なのかが不明瞭で単純に比較し難いのですが、M8からM240系まではトップカバーの厚みで言えば見た目上は同じと思います。
M10はひと目見てこれまでのMデジより薄くなっているのが感じられ、フィルムM型ライカと同じと言われればそうだろうと思ってしまいます。
単焦点高級コンデジの富士フイルムX100Tと並べてみても、M10がそこまで大きいわけではない事が分かります。
M10はコンデジだったのだ・・・!!!
・・・という冗談はさておき、フィルムM型ライカでは貼り革と面一であったマウントがかなり飛び出しています。
Mデジはどれも飛び出してはいるのですが、M10では過去最大です。
カメラを使う時は、トップカバー側からレンズの絞りリングなどを見ることになるため、違和感を感じるのでは?とも思ったのですが、むしろ薄くなったトップカバーにばかり意識が行くので、マウントの出っ張りなど気にもなりませんでした。
使い始めて3ヶ月経った今でも、防湿庫から出す度に「薄いなぁ・・・」と思っています。
外観上の変化で運用に関係してくる所は、アイレットの上に付いていた黒いキズ防止用プラパーツが無くなっている事です。
金属部品がリング周辺に付いているストラップを取り付ける際は注意したほうが良いです(キズなんて気にしない、って人であれば問題無いでしょうが)。
3.アクセサリー
常用している純正アクセサリーはボディケース、サムレスト、液晶保護フィルムの3点です。
ストラップはArtisan&ArtistのACAM-306-REDを取り付けています。
純正でサムレストが登場したことも驚きなのですが、今回の純正アクセサリーで一番の衝撃はこのボディケースです。
背面液晶を隠した運用が可能となっており、実際に隠したまま使っていても実用上の問題が何も無いのです。
パタッとフラップしてやれば液晶を確認することも、メニュー操作をすることも可能なのですが、めったに見ることはありません。
M240の時は暇な時に液晶をついつい見てしまいメニューの隅々まで把握していたのですが、M10になってからは液晶を全く見なくなったのでメニューにどんな機能が追加されているのかの把握が未だ出来ていない状態だったりします。
これまでは純正アクセサリー類を推奨する事は見栄え的な問題を除けば無かったのですが、このボディケースだけは機能面でもお薦めします。
ボディへの固定が、コインを使った三脚穴へのねじ込みのため脱着が煩雑ではあるのですが、その欠点を補って余るものがあります。
純正以外でも背面液晶を隠すスタイルのボディケースが続々登場していますので、それらを使うというのもアリかと思います。
ライカM10発売当初からこのスタイルのケースが純正でリリースされたいう事に感動していますw
さすがにSDカードはラインナップにありませんので、Lexar 2000x 64GBを使っています。
M10とこのSDカードとの組み合わせで連写をした時に、今のところ書き込み待ちで撮れないという状況に遭遇したことはありません。
4.写り
Leica M10 + APO-Summicron-M 50mm F2.0 ASPH.
以前にも書きましたが、一言で表現すると「超高画質にしたM9」となります。
Leica M10 + APO-Summicron-M 50mm F2.0 ASPH.
赤、青、黄の雰囲気がM9にそっくりなものの、絵的に破綻はしないギリギリを攻めている感じで、M9で不満だった点が改善しています。
Leica M10 + Summilux-M 35mm F1.4 ASPH. FLE
人工物を撮影した際はかなりカラッとした雰囲気で写ります。
Leica M10 + APO-Summicron-M 50mm F2.0 ASPH.
緑の多い場所で撮影した時の雰囲気が凄く気に入っており、ストリートスナップなスタイルに使いやすいカメラながら、自然に溢れる場所に強いなと思います。
Leica M10 + APO-Summicron-M 50mm F2.0 ASPH.
ただ、まだ私がM10のRAWの扱いに慣れていないためにそう感じているだけかと思いますので、街撮りの現像テクニックを向上させなくては、と思います。
Leica M10 + APO-Telyt-M 135mm F3.4
135mmのレンズで手ブレを抑えるために、この写真は日中屋外ながらISO800で撮影しています。
M240だとISO800は夜間に已む無しで使う感度だったため、それを日中から常用しようという気にさせてくれるM10は現代的なハイエンドデジタルカメラの持つ性能と遜色は無くなったのかな、と思います。
Leica M10 + APO-Telyt-M 135mm F3.4
ライカの135mmレンズに人気がない理由としては、ブライトフレームで撮像範囲を決め辛い事と、レンジファインダーでのピント合わせがし辛い事があるかと思います。
後者のピント合わせに失敗したと感じている写真、よく見たら手ブレでシャープネスが落ちているだけの可能性もあります。
高感度でシャッタースピードを稼いでやれば、レンジファインダー機での135mmレンズ運用に対する評価が変わるかと思います。
その場で直ぐにプレビュー出来るデジタルカメラでしたら尚更です。
Leica M10 + APO-Summicron-M 50mm F2.0 ASPH.
これはISO3200で撮影し、現像で露出を+2EVくらいしています。
それでこの仕上がりを見てしまうと、性能アップに感動します。
Leica M10 + Noctilux-M 50mm F0.95 ASPH.
ベース感度がISO100に変わっているのも、地味ではありますが、ノクチを日中屋外で開放撮影する人にとっては嬉しい変更点です。
Leica M10 + Schneider Kreuznach Xenon 50mm F2.0 for Rectaflex
LVの遅延はEVF撮影時に最大のストレスとなりますが、α7RIIなどを使ってきた後にM10+ビゾフレックスで撮影していても違和感を感じないので、ミラーレス機スタイルでの撮影でM10の色味を楽しむのも、前述しておりますが大アリな選択なのかもしれません。
Leica M10 + APO-Telyt-M 135mm F3.4
モノクロ変換時のシャープネスに関してはMモノクローム(typ246)に勝てる余地はありませんが、これはカラー機の宿命ですので仕方ないです。
これは結構ガッツリとクロップしてる写真なのですが、それでもこれだけシャープに見えるのであれば十分であるとも言えます。
5.総評
相変わらず流通が不安定で品薄が続いているようですが、実機に触れられる場所や時間は増えています。
一度触ってみて、プレビューを見てみれば、「ああ、これ欲しいわ・・・」ってなること受け合いかと思いますw
書きたいことがあまりに多すぎて雑多なレビューとなってしまいましたが、第一印象を簡単に纏めるとこうなりました。
また年末にでも長期使用レビューをガッツリと書きたいと思います(´ω`)
Ver.1.0.1:表現を微修正(2017年8月19日)
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