Canon Serenar 50mm F2.0 LTM
キャノンのライカLマウントレンズ、セレナー50mmの絞り開放値が2.0のものを入手しました。
・・・と言っても、手に入れたのは昨年の春ごろなので相当長い事記事化するのを放置していた状態です。
このレンズ、キャノン公式にあるキャノンカメラミュージアムによると発売は1947年の2月だそうです。終戦が1945年の8月ですから、ホントに戦後間もない時期に発売されたもののようです。
キャノンのLマウントレンズというとF1.8の固定鏡筒が圧倒的にコスパが良い&写りもよく、その印象が強いです。Canon名のやつとSerenar名のものと2種類ありますが、同じ仕様になります。
沈胴式レンズだとF1.9のものが有名で、比較的こちらもよく見かけます。残念ながら私は使用したことが無いですが・・・。
前述のF1.8、F1.9と比較するとこのF2.0のセレナーはかなり生産数が少ないようです。
実際、あまりに見かけないので、最初このレンズを紹介されたとき、富士フィルムのCristarとかニコンのニッコールと完全に頭の中でごっちゃになっておりました・・・。
家に帰ってきて、あれ?F2.0・・・?となってよくよく調べたらこれレアなやつじゃん・・・となった次第です。
かなりのレア玉なので、本来はお高いはずなのですが、レンズに当て跡あり、フィルターの脱着がややキツいためかなりお安く入手しております。
取り外し出来ないだけではないので実用上は問題ないのと、フィルターも使う上では外すことはまず無いので使い勝手としても気になることはないです。
ガラスそのものはとてもきれいで、目立つ傷も無く、年代を考えればとても程度が良いです。
入手元は、いつも大変お世話になっておりますイエネコカメラさんです。距離計連動の微妙な調整を結構な期間やり取りしたおかげでバッチリ快適に使えるよう仕上がっております。ホント、いつもいつもありがとうございます!
絞り羽は13枚。こちら、キャノンカメラミュージアムのほうは情報がNAですが、数えればわかるのに情報無しなのは何故なのでしょうかね・・・。
裏側から。
よくあるLマウント沈胴レンズの中の状態、といった感じでしょうか。
前2枚の写真をみて、レンズ内部の反射が結構あるような・・・と思った方もいらっしゃると思いますが、実際、Lマウントの沈胴ズミクロンと比較しても反射がかなりすごいことになってます・・・。
こちら、Lマウントの沈胴ズミクロンです。ただ、山崎光学で研磨された後に再コートされてしまってるので、完全なオリジナルがこうなのかはもはや使ったのが昔過ぎて思い出せないのですが・・・。
これと比較しても、セレナーさんは内部の空気境界面の反射がすごいです・・・。
これは後ほどの試写のほうでもゴーストとしてバリバリ反映されております。
絞りの最小は11とやや控えめです。
当時のフィルム感度を考えればF11ですら使うことは稀だったのかもですが。
現在でもこの辺の極端な絞り値、特に手ぶれ補正のレンジファインダー機種だと常用はしないような気がします。
あ、でもパンフォーカススナップする時なら使うのかな。
レンズ鏡筒の作りとしてはライツのそれと比較すると若干及ばないかなぁ・・・というのが正直な感想ですがなかなかのものです。
当時のご時世を反映して、距離メモリはフィートになっています。
フィルター径もキャノンミュージアムに記載が無いのですが、フィルター径は40mmです。
F2.0のレンズだとライツ・ライカ伝統の39mmか、40.5mmが多いような印象ですがジャスト40です。幸いにも現行で40mmは売られています。
前述の通り、アタリでネジ山が少し潰れているのでフィルターをつける時の抵抗が強いです。
あんまり奥まで締めると外せなくなる危険性もあるため、途中で止めてます。
左がセレナー、右がLマウントのズミクロンです。
セレナー1.9はSummitarのコピーレンズとよく言われますが、この2.0はどうなんでしょうね・・・。
Lマウントレンズが網羅されてる全3巻か4巻くらいの書籍を持っているのですが、今はイエネコカメラさんの本棚に預けてあるので記事を書いてる時点では内容読めずです。
このセレナーもおそらく載ってると思いますので、調べたら内容を追記しておこうと思います。
見た目、似ているようで似てない。
ズミクロンのほうが使っている期間が圧倒的に長いので見てて安心感はありますw
ズミクロンは最小絞りがF16ですね。距離指標に赤外線指標もついています。
上がズミクロンでマルミのフィルターが付いています。
下がセレナーで、フィルターは付いていません。
若干ですが、セレナーのほうがレンズ全長は長いです。
M10-Rに取り付けたお姿を。
レンジファインダー機なのでやっぱこの手のクラシカルな外観のレンズは似合います。
以前の記事ですでにこのレンズ、シレッと使ってたような気もします。
割とクセ強めかつコントラスト浅めで、本当はMモノクロームにつけるとか、カラーM機でもモノクロ仕上げするとき専用として使うほうが向いてるのでは、と思います。
探してすぐに見つかるレンズでもないため、大切に使っていこうと思います(`・ω・´)