Leica Elmar-M 50mm F2.8 2nd 最終型 11823

      2016/05/03

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ライカの直近まで現行だったレンズ、エルマーM 50mm F2.8 2ndの未使用品と思わしきものを入手しました。
エルマーはLマウントバルナック時代のF3.5のものが有名ですが、その後に強烈に内面反射を抑える仕様の鏡筒リニューアルがあり、F2.8のものがIIIgと共にリリースされました。
そちらは1957年から1974年まで販売されますが、その後エルマーは暫く作られなくなります。
M6Jが発売された際にエレメントが再設計されエルマーが復活、その一般販売用がこのレンズになります。
1994年から2007年まで製造されましたが、Summarit F2.5の登場で姿を消しました。
M8に時代が被っているため、6bitコード付きのものも製造されています。
F2.8タイプまでのものは絞り羽根が1群と2群の間にありますが、こちらの最終タイプは2群と3群の間にあり、完全なテッサー構成となっています。
ガラス素材などもより現代的な物となっているため、3群4枚なのは相変わらずですが、設計的は変更されています。
黒鏡筒タイプが170gとMマウント用のライカ製50mmレンズとしては最軽量、銀鏡筒タイプも245gと現行の真鍮製シルバーレンズとしては最軽量です。

 
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前置きが長かったですがレンズを見ていきましょう(´ω`;)
いかにも現行レンズという雰囲気の銘板です。

 
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未使用品などのコレクターズアイテムだと曇っていたりすることもあるのですが、こちらのレンズはスカッと抜けていました。
神々しい紫色のコーテイングが見えますが、こちら、シングルコーティングらしいです。
ですが、撮影した際の色味は現行レンズそのものの非常に華やかな感じになります。

 
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絞り羽は6枚。
オールドのF2.8みたいな綺麗な円形にはなりませんが、だからといってボケが汚いわけでもありませんでした。

 
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後玉は割と奥まっています。
コーティングはモノコートっぽい雰囲気があります。
もしかして前玉だけマルチコート・・・?

 
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オールドのF2.8エルマーと比べるとかなり雰囲気が違います。
いかにも現行のライカレンズといった見た目です。
私はこの現行の見た目が好きなんですよねえ・・・。

 
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ちなみに最も沈胴させた状態だとここまで短くなります。

 
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F2.8エルマーは絞りリングの指標が裏表にありますが、このレンズは1方向にしかありません。
沈胴させて引き出す時に向きがおかしいと、絞りリングの指標が真上に来ません。
沈胴ズミクロンでは沈胴状態でレンズがクルクル回ることがないのですが、F2.8エルマーやこのエルマーは回るため注意が必要です。
ちなみにM8やM9では沈胴させても内部に干渉しない、と検証してる方が多数います。
M240でも内部には干渉しなかったです・・・・が、デジタルカメラで沈胴機構は使用しないほうが良いと思います。
干渉云々より、センサー面にポンプのようにチリホコリを送り込むというのは非常にカメラによろしく無いです。
フィルムなら1コマ毎にセンサーが更新されますが、デジタルカメラはセンサー据え置きですから。
沈胴する筒の部分が触れる箇所が擦れないようにスウェードっぽい素材が使われますが、その毛がほつれてセンサーに付着する可能性があります。

 
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今は無きシーベルへグナーのエンブレムバッジが付いています。
昔はこれが有ると無しでは中古価格に凄い差があったそうですが・・・、今となっては・・・ですw

 
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フードはITDOO、IROOA、ITOOYも使えるのですが、専用のものが付属しています。
オールドのフードもカッコイイですし、これはこれでカッコイイ!
コーティングは極まってると思いますので、合ってもなくても殆ど写りには関係ないんでしょうが(´ω`;)

 
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フィルターはちょっと前まで現行だった純正のUVaが付いていました。
黒だったのでゼブラになってしまっていますが、まあこれはこれでアリなんじゃないでしょうか。
シルバーのUVaはマルミのしか持ってないのですが、銀を付けたらまた雰囲気が変わるのかな?

 
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キャップは昔ながらのカブセ式と見た目なんですが・・・

 
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裏側のスウェードが非常に丁寧に貼られています。
それこそアポズミクロン50mmのキャップ並みに丁寧です。
直近の現行レンズであるSummaritのキャップとは雲泥の差ですね・・・。

 
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レンズを包んでいたビニール袋まで残ってるし、シリアルナンバーまで合致。
いやあ、凄いですね(´ω`;)

 
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現行&直近まで現行だったライカレンズ達との比較を。アポズミクロン50mmだけはシルバーが作られていないので黒です。
左から
Summilux-M 35mm F1.4 ASPH.
Elmar-M 50mm F2.8
APO-Summicron-M 50mm F2.0 ASPH.
Summilux-M 50mm F1.4 ASPH.
Elmarit-M 90mm F2.8
Summicron-M 90mm F2.0
となります。

 
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このエルマーさん、非常にコンパクトなのがお分かりいただけるかと思います。

 
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M240に取り付けたお姿を。

 
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やっぱり沈胴レンズでも、現行ボディには現行に近いレンズが似合います。

 
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カッコイイですね!!
見た目はメチャクチャ気に入りました。
さて、肝心の写りです。
オールドのF2.8エルマーは開放がふわふわな描写ですが、こちらの現行エルマーは開放からシャープでバキバキに写ります。
解像度に関しては、開放のF2.8から現行の2400万画素を表現するのに十分な感じです。おそらく4200万画素オーバーのα7RIIの使用にも耐えうるでしょう。
鷹の目テッサーの最終進化形態、ここにあり、といった感じでしょうか。

最大の特徴としては、コントラストが凄まじく高い絵が撮れます。3群という現行ライカレンズとしては最も少ない空気境界面+極まった現行のコーティングのおかげなのでは?と考えます。手持ちの現行レンズ群の中では最もコントラストが高い絵になってると思います.

その背反か、階調表現力は他の現行レンズに劣ります。RAW現像するとシャドウやハイライトに階調があまり残っていないのが良く分かります。

そこがこのレンズの絵のバキバキ感を強調させてるのではと思います。
発色は素晴らしく、色再現性は高いです。
とにかくコントラストを活かした写真が撮りたい!という時はこのレンズが最も向いているかと思います。
ズミクロンともズミルックスとも全く違う個性で、それらを持っているからといって、このエルマーみたいな絵が撮れるかと言えば完全にノーと言わざるを得ないんですよ。そこが凄いですね。
2.5ズマリットなんかは、完全にズミクロンと個性が被ってしまっているので、四隅が甘くて暗くて最短も長い劣化版ズミクロンみたいになっちゃってます・・・。
今まで意識の範疇に全く無いレンズだったんですが、思いつきで手に入れてみたら非常によく写り大満足です。
このレンズは良いレンズだ!!

 
レンズ紹介
試写その1
試写その2

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