Leica X2 (X-E) ライカ X2 & X-E ファーストインプレッションレビュー

      2019/01/02

ライカX2(今はX2は型落ちして、全く同機能のX-Eに置き換わりました)ってかなり売れているカメラだと思うのですが、詳細なレビュー記事を商用サイト以外であまり見かけないので、せっかくお気に入りのカメラですので書いてみようと思います。

1.写り

私は以前X1も使っていましたが、X1の描写の特徴をそっくりそのまま継承して高画素化されたという感じです。

X1もX2もX-Eもですが、撮影の時の設定でRAWだけで撮るということができません。必ずJPEGも保存される設定しか出来ません。これはライカ社がJPEGでの絵作りの相当自信があるからなのではないかと思います(コンパクトカメラだからお手軽さという意味もありそうですがw)。

標準設定のJPEGの描写はとにかく渋い色味になります。華やかに写ることを良しとしている他のカメラとは一線を画す描写になります。

華やかなビアンキのチェレステカラーがかなり渋い色味になってます。

標準JPEG -1EV

RAWは適正露出でも少しオーバー気味な雰囲気。それもあってか少し華やかに見えますが、ストレート現像のままだと絵的に不満が残るかも。
RAWストレート現像 -1EV

し・・渋い・・・
JPEG標準 -1EV

X2と比較するとライカMの絵は目の覚めるような鮮やかさです。
Leica M (typ240) + APO-Summicron 50mm F2.0 ASPH.

付属のレンズ、ELMARIT 24mm F2.8 ASPH.は開放からかなりのシャープさです。建築物などの直線も歪ますビシッと直線がでます。X1の1220万画素からX2は1650万画素と増え、センサーサイズは据え置きのため画素ピッチ的に不利な状態ですが、それをカバーできる性能となっています。

JPEG標準 -1EV

上の画像のほぼ中心、手前の自転車のボトルケージ部分を超拡大。上の写真では文字すら見えないですが、元画像ではハッキリと解像しているのが良くわかります。

 

単焦点レンズだけあって直線はピンピンです。

標準JPEG -1EV

上記の写真、EV設定を-1としていますが、標準状態ですとややオーバー気味の写りとなります。

カラーJPEG、モノクロJPEG、RAW、全てにおいてそのように感じます。日中、屋内撮影は-1EV、夜間屋外は-2EVがベストだと思います。これもX1の時の特徴と全く同じです。

露出補正をしないとややオーバー気味な気が・・・

JPEG標準 露出補正無し

日中屋外の撮影ですが、ややハイキーですよね、これでは・・・。
JPEGハイコントラストモノクロ 露出補正無し

 

やっぱり日中屋外は-1EVが自然だと思います。
JPEGハイコントラストモノクロ -1EV

2.高感度・RAW現像耐性

ライカX1では最高感度がISO3200でしたが、X2は12500になっています。
X1だと実用限界は800、かなり無理して1600、3200はできれば使いたくないノイズ感でしたが、X2では3200でも十分実用です。
レンズの開放F値が2.8ですが、夜間撮影にも十分耐えうる感度設定が可能となりました。
さすがに12500だとノイズバリバリですが、スポーツ写真を撮るようなカメラでもありませんしそこまで上げるような状況はほぼ無いでしょう。

RAW現像耐性もX1より良くなっています。
Lightroomを使ってハイライト・シャドウを限界まで復元しても十分見るに耐える画質となります。これは素晴らしいですね。
ライカM240ほど完璧な復元は無理ですが、ライカM9程度の感覚と思っていただけるとM型デジタルをお使いの方にはわかっていただけるかなと。

手持ちの同じAPS-C機のNEX-5なんかはライカX2の現像耐性に足元も及びません(´д`;)
同じSONY製センサーですが、エントリー機とハイエンド機の違いですね・・・。

3.シャッター・騒音性
とにかく静かです。撮影時、機械的に発生する音はAFによるレンズの移動音とレンズシャッター開閉音のみです。
AF駆動によるレンズ伸縮はクククッと心地良く、かつ、目立たないスムーズな音がします。

レンズシャッター音はチッという囁くような音です。

電源OFF時。絞りこまれた羽の奥に見える黒い物がレンズシャッターです。
電源を入れると沈胴していたレンズが伸びてきますがその音
もスムーズでかなり静かです。
標準状態ですと、ピントが合った際にピコンという音が、撮影時にはシュクッという音(ライカM3の1/60のシャッター音をサンプリングしたものだそうで)が再生されますが、これらはオフに出来ます。
私はスナップ撮影メインですので当然OFFにしています。
ボタン操作時も音が出ますが、これらも当然オフに出来ます。

物理的に発生する音以外は完全無音カメラにすることができます。

また私はAF補助光(薄暗い所でカメラ前面が赤く光るっての、よく有りますよね)すらOFFにしているので、操作している自分以外は写真を撮ろうとしているのか、撮ったのかすらわからない状態になっています。

ただ、レンズが沈胴式のため、電源を入れるとレンズが伸びてきてしまい、そこでカメラ電源がONであることが悟られてしまいますが、それすらわからなくなるような物を私は装着しています(後述)

発生する機械的な音はライカM9やM240より静か、そしてAF搭載ということで、ライカX2はスナップ性能が最強レベルのカメラです。

4.EVF
X1からの進化として、X2ではEVFが取り付けられるようになりました。
背面液晶でしか正確なフレーミングが出来なかったX1は正直辛く、それが嫌で手放す原因ともなりました。

X2でも当然背面液晶を用いた撮影は出来ますが、私はEVFを付けっぱなしです。

ライカM240同様にオリンパスのVF-2がそのまま使えます。純正では黒色のEVFは無いので見た目的にもこのセッティングは気に入っています。
ライカX1、X2共に背面液晶は23万ドット、EVFは140万ドットですので圧倒的にEVFのほうが見えが良いです。
背面液晶は最近流行りのバリアングル液晶でもないですので、ローアングル撮影にはEVFが大活躍します。

スナップ的にもカメラを顔の位置に持ち上げるより、ウェストレベル撮影にしてお辞儀スタイルのほうがカメラを避ける人も減ってやりやすいです。

EVFをONにしていると背面液晶は常時消灯してしまい、各種設定や撮影画像の再生もEVF内でしか行えません。

ですが、基本オート撮りのカメラなので頻繁に設定も弄らない、撮影後にプレビューが表示されますので困ることもほぼ無いです。

36mmの光学ファインダーが発売されていますが、あれは正直お勧めできません。
AFカメラなのにどこにピントが来ているのかも分からずシャッターを切るなんて辛すぎます。
近接撮影ではどこにピントを合わせたいのかというのが撮りたい絵に大きく効いてくるのに視認出来ないのは・・・。当然近接でのパララックスも増えます。

大量に中古が出回っているのはそういうことなんだと思います。

EVFを取り付けるために、頭に角が生えてしまい、素の状態の見栄えがちょっと悪くなりましたが、私はEVF無しで使うことが無いので全く気になりません。

出っ張りが増えましたがどうせ見えないので私は気になりません。

5.ボタン配置・操作性

軍艦部のダイヤルはシャッタスピードと絞りリングのみです。
X1の時はクリック感が弱く不用意に回転しましたが、X2では改善されてそんな事もありません。

かといって硬いわけでもなく非常に気持ち良い操作感です。

シャッタスピードも絞りもほぼオートで使っていますが、夜間だけはF2.8固定にすることが多いです。
背面ボタンの配置はM9ともM240とも違う独自の配置なんですが、ほぼ触らないので混乱するようなことは無いです。

撮影に使う箇所は限られているので、M型デジタルのサブ機として使っていても違和感なしです。

X1では30cm~50cmの近接撮影時は、近接撮影モードに切り替えなくてはなりませんでしたがX2では特別な操作無く30cmまで寄ってくれます。

AF速度も改善しておりかなり早いです。NEX-5のAF速度よりちょっと遅いかな、という感じで通常の使用でイライラさせられることはありません。X1の時はAF速度に不満がありました・・・。

液晶右側の5つのボタンの周りのダイヤルは再生した画像の拡大縮小に使うのがメインです。

右上のダイヤルはMF時にピント合わせに使います。AFが結構賢いので、私はMFを殆ど使っていません。

何でもかんでも自分で決めて撮るM型ライカと違って、X型の醍醐味はオートで気軽にパシパシ撮ることだと思います。

私は下記のような設定をして、半押しAF→フレーミングして撮るだけ、という気軽な使い方をしています。

使用するISO感度範囲:100~3200

オートで使用する最低シャッタースピード:1/30

X1でやってた設定と同じですね。

私は後述するフィルターアダプターを付けっぱなしですので、カメラの電源は常時ONです。
3分すると自動的にOFFになりレンズが縮み、シャッターボタンを半押しするとスリープから戻りレンズが伸びます。
M9のスリープ復帰ほど早くはなく、M240と同じ程度の時間で使えるようになります。

沈胴式レンズが伸びてくる時間があるので、それを考えればとても早いと思います。

6.バッテリー性能
常時電源ONのEVF使用でJPEG+RAW撮りしても丸一日撮り歩けます。
300~400枚くらいはフル充電のバッテリー1個で十分イケます。

ただ、バッテリーが切れてしまえばそこでオシマイですので予備のバッテリーを1つは持っていたほうが精神的に良いかと思います。

私は純正バッテリーを1つに、もう1つはロワジャパンの互換バッテリー(500円くらい)を使っています。
互換品でも何の問題も起きていません。

純正バッテリーはメチャクチャ高いので、無理して純正を買う必要も無いのでは・・・と思います。

7.外観
すこぶる良いと思います。

X2はディスコンになってしまい、色と名前の変わったX-Eが現行機種としてありますが、私的にはX2のシルバーボディーに黒の貼り革が好きです。

X1の時はKIWIの円筒形のフィルターアダプターを付けていましたが、見た目が気に入らず、結局はACMAXXのレンズアーマー(銘板に貼り付けるタイプのUVフィルター)を貼りました。
今でもACMAXXのレンズアーマーは売られていますが、以前は3000円程度だったのに今は8000円くらいします。為替の問題ではなく、単純にUSドルで値上がりしました。

たかが貼り付けるフィルターに8000円かよーって事で今回は凝った形のフィルターアダプターを取り付けています。

ケイ・カメラさん特製のアルミ削り出しフィルターアダプター(E55)を付けました。

最近、マップカメラさんからもフィルターアダプターが出ましたが、シルバー色があるものの結局は円筒形で形が気に入りません。

このフィルターアダプターは一見普通のレンズにフードを取り付けたかのような形をしているのが凄く良いんですよ。

ただ、工作に凄い手間がかかると思うのでかなりのお値段です・・・。

フィルターアダプターを取り付けて良い所は、電源ONのままにして、オートスリープを活用する気になるという点です。

可動式のレンズが伸びたままで持ち歩いて、例えばどこかにぶつけたら壊れてしまう可能性がありますが、フィルターアダプターがあればそれを避けられます。

もう一つのメリットとしては、電源ONにしても沈胴式レンズが伸びる所を他人に気づかれにくいという所です。

これはスナップ撮影をメインにしている私としてはかなり大きいです。

フィルターアダプター内でレンズが伸びた状態。フィルターアダプターに隠されているのでレンズが伸びるのを気づかれにくいです。

ケースはArtisan & Artist、ストラップはイエネコカメラ特製の細くて長いストラップを着けてます。

割とアクセサリー盛りだくさんで折角のコンパクトさは失われていますが、ドレスアップとしては満足です。
使う時だけカバンから取り出して、というスタイルではなく、私はカメラを斜めがけにして歩くのでこの程度デコって居ても邪魔とは感じないです。

ライカM240より軽いし小さいし、十分サブ機として成立してくれています。

見栄えに満足できる世界で唯一のフィルターアダプターです。

 

8.総評
X2は中古の値段も底値かな、という状態なので手を出しやすくなってきたと思います。
ヤフオクを見ていると、アクセサリー盛りだくさんセットで、というのもチラホラ出品されてたりしますのでそういったものが狙い目かと思います。
私のも、EVF以外は全部セットでした。予備バッテリー(500円)以外に買い足したものはありません。
ただ、性能のみで考えてしまうと、同じ価格帯にAPS-C機のFUJIFILM X100Tがあるのでどうかなぁ・・・と思う方も居るでしょう。
しかし、X2の渋~いJPEG絵はX100Tでは絶対撮れないです。
X1の時も初代X100と比較されていましたが、今もその構図は変わらずです。
見た目だけなんちゃってレンジファインダー機のX100系を買うか、本気でバルナックライカサイズに収めようと頑張ってそうなったライカXを買うか、と考えると、少々のブランド料はやむ無しだと思います。
リセールバリューもライカは圧倒的ですからね。
たぶん今X2を買って1年使って遊んでも、手放すときに同じ値段で売れるでしょう。

X100系はそれって厳しい気がします。

どうしても新品が良い!って人はX-Eをいっちゃってください。

X1は何かと不満があってすぐに手放してしまいましたが、X2はずっとずっと使っていくことになりそうなのでした。

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