人間が溶鉱炉に落ちるとどうなるか

      2016/05/19

私は学部&大学院共に金属工学専攻出身なのですが、やはり学生の間ではこの手の話はたまに話題になってました。

昭和40年代後半くらいまでは、割とあった事故のようですが、最近はめっきり減っているそうです。

学生中に出会った鉄鋼各社の人に聞いた話をまとめてみます(こっちが聞いて無くても話のネタに話す人が結構いる)。

これですら、実際に事故現場に居合わせた人の話ではないので嘘かホントかは、読者の判断に任せます。
まず、結論から言うと

燃え尽きるまで数時間かかるため、発見から時間が短ければ”救出”(という名の遺体回収)される

です。

順に説明します。
まず、鉄というものは、当然ながら炉で作ります。一般的に方法は2種

・高炉法

・電気炉法

です。

前者の高炉は、高層マンションくらいの大きさのある筒に上から鉄鉱石やコークスを入れ、下から熱したガスを送り込む事によって鉄鉱石が還元され、下から溶けた鉄が出てきます。上から次々と材料を足していくので連続的に溶けた鉄が作れます。

後者の電気炉は、耐火物レンガを貼った容器内で鉄スクラップに電気でアーク(カミナリ)を飛ばして、その高熱で溶かします。

どっちも、最終的には、耐火物のレンガを貼り付けた取鍋(とりなべ、以下 鍋)に入れます。

この状態だと、炭素CやリンP、硫黄Sなど、不純物がたくさんなので、そこにガスを吹き込んでそれらを取り除きます。この行程を製錬といいます。
この鍋に溶鋼(以下 湯)がたまっている状態を、一般の人は”溶鉱炉”と認識しているかとおもいます。

今回の事件は、この鍋に入っている湯に落ちた状態かと思われます。
湯の温度は、鉄ですとまあ、融点近辺の1500℃です。

火葬を行う際の温度がだいたい1000℃前後、1500℃に近づくと骨が残らないそうです。700℃だと生焼けで肉が残ることが。

火葬にかかる時間は、経験したことがある方ならわかるかと思いますが1時間程度。

1500℃の湯に落ちても、今回の事故のように早ければ遺体は残るようです。

火葬は気体から熱が伝わりますが、湯に落ちた場合は液体から熱が伝わるため、燃える速度は湯に落ちた方が

圧倒的に早いと思いがちなのですが、そう簡単に燃えないらしいです。

実際に、遺体を引き上げた事例を知っているという話を聞きました。人だった何かの塊が回収出来るようです。

人間の体は溶けた鉄よりもあきらかに比重が軽いので、水に油が浮くように、湯の表面に遺体は浮きます。

ターミネーター2のラストみたいに簡単に沈みません(ターミネーターシュワちゃんはサイボーグという設定上、体は何かしらの金属なので、あの降下速度なら沈む可能性もあります)。

溶けた鉄に金属の塊(成分調整用の添加元素)を落としてもドボン!とならず、液面にベチョッとなるので、高所から落下した場合、人間程度の比重ならば間違いなく液面にベチーーン!でしょう。

人体はほとんど水分で出来てるので、落ちた瞬間に水蒸気爆発する、というような事を言う人もいますが、

溶けた鉄に直接水滴を落とすわけでもないのでそのような激しいことはないと思います。

学生時代に、溶かした鉄に有機物を落とした経験があるのでこれは間違いないはず。
ただ、液面に達する前に、熱により炎に包まれます。これも試したことがあるので間違いないです。雰囲気温度1000℃オーバーは凄い世界です。

おそらく、人間が鍋に落ちる際も、湯面に達する前に火だるまかと思います。

youtubeliveleakで焼身自殺系の動画を探していただくとわかりますが、人間、火だるまになっても簡単に絶命しませんし意識も飛びません。

1500℃の湯面に落ちても、絶命の直前までは意識があるのではないかと思います。火傷の激痛で強制的に意識が戻るみたいですね。

ただ、溶けた金属からは様々なガスが出ているので、落下後にそれらを吸引した場合、意識が続くのかわかりません。

(低酸素状態は手軽に作り出すことが出来ます。コップにコーラを注ぎ、コップと口を密着させて液面との間の気体を吸引することです。1呼吸で意識がやばくなります。鼻で息を吐いて、コップの隙間を少々開けて吸うのがコツです。危ないから一人では絶対にやらない方が良いですが。酸素濃度によっては一撃で落ちる(ヘタしたら即呼吸停止→そのまま意識不明のコンボで死ぬ)可能性があります。酸素濃度の低下した空気を吸うと人間は直ぐに意識が危うくなります。ドライアイスとお湯でブクブクやってるときに、出てきた煙を吸うと危ない、と幼き頃に言われた経験のある方、多いと思いますが、あれを思いっきり吸うと本当に危ないです。)

また、高熱で肺が焼けると思うので、それによっても意識が途絶える可能性は考えられます。

意識を奪う低酸素状態と、意識を引き戻す激痛のどちらが勝つのか、それは落ちた人にしかわかりません。

湯に落ちて時間がたちすぎると、やはり跡形もなく消えるそうです。人体を構成する、炭素、燐、窒素、硫黄、カルシウムといった成分によって、湯の成分に異常が出るとかなんとか。コレは半ば都市伝説なんじゃないか、と私は思っていますが。

湯の量に対して、いくら何でも人体に含まれるレベルのそれらの量が少なすぎる気が・・・。湯の量にもよりますが・・・。
人が落ちた湯はどうするか、というと、出荷はさすがにしないそうです。

工場敷地内に埋め立てたりして処分すると。そりゃあそうですよねぇ・・・。
小学生の頃、新日鉄の名古屋製鉄所に工場見学へ行った際、工場にて亡くなった方の慰霊碑のお参りもしました。

産業道路が見えるあたりに、石だったか、鉄だったか、覚えていませんが、どちらかで碑が作られていました。

昔は湯に落ちるというのは割と良くあったそうです。

成分調整のための添加元素となる金属を、直接鍋に投げ込むのですが、その際に一緒に体を持って行かれて落ちる、という

事故が良くあったそうです。また、湯の温度を保つために藁の俵みたいなのを投げ込んで燃やす、というのは今でも行われています。

今も添加元素用金属を直で投げ込んでいるかはちょっとわかりませんが。

製造業はかなり危険な仕事の多い業界ですので、事故の話はしょっちゅうニュース等で聞きますが、どうしてこうなった、的な死亡事故が割と起きています(参考サイト:失敗知識データーベース 昔JSTが運営していて閉鎖されましたが、おそらくその内容の転載サイトです)。

普通じゃありえんだろ、があり得てしまう時に死亡事故が起きます。

圧延機に鋼材が引っかかったから足でけっ飛ばして押し込んだらそのまま体まで吸い込まれた、とか、そんな事故まであり得てしまいます。

常識的に考えて怖すぎてできんだろ、ということを、慣れてくるとやってしまうんですよねぇ…。
何か参考になれば幸いです。

また、今回の事故で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

※業務上知り得た情報は書くことが出来ないので、学生時代の情報だけで書いています。

製造業で働いてる人に会ったら、事故等の話を聞いてみると、普通じゃ考えられないような事故例をかなり具体的に知ってて話を聞ける可能性があるかも・・・?(´д`;)

第三者に話すのはホントはヤバいんでしょうが・・・。

 

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1711360.html

http://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-2350.html

 

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