Leica Summilux-M 50mm F1.4 ASPH. Silver Chrome
2016/05/03
最も手元に長く居て、最も使用しているにも関わらず一度もブログ記事単体として書いたことの無かったズミルックス-M 50mm F1.4 ASPH.を今更ながら紹介してみます。
こちら、事実上の現行ライカレンズの標準レンズ中の標準レンズかと思います。
圧倒的な描写性能と汎用性、デジタルM型ライカとのルックスのマッチ、全てにおいて現行ライカレンズの王道です。
発売は2004年、結構昔ですが、長らく手に入りにくい時代が続いたようで。
今は店頭在庫がある所も多いです。
レンズ構成は5群8枚、絞り羽の後に非球面レンズを、最後群がフローティングエレメントとなっています。
ブラックのものはアルマイト素材で335g、シルバーのものは真鍮製で460g。
あまり知られていない事ですが、このレンズ、アポの名を冠していないにも関わらずアポクロマート補正されています。
============引用============
I may not be a broadly known fact, but Peter Karbe finds 50mm lenses fascinating. He has made the outstanding50mm Summilux-M ASPH f/1.4 that he admitted in fact is an APO design though it doesn't say on the lens. Him and his team decided to conquor the rules of everything and make a 50mm f/0.95 that is both lightstrong and a groundbreaking great lens wide open.
============引用終わり===========
もしAPO-Summilux-Mという名前であったならば、今のお値段で手に入れるのは不可能なブランド料となっているでしょうw
私は2013年の後半に、新品を香港から個人輸入して手に入れました。
今のお値段の3/5くらいの金額でした。
度重なる価格改定でかなり買いにくいレンズとなってしまいましたが、ライカの最初に1本で悩んでいたり、決定打とする1本を探してあれこれ試すのであれば、最初からこのSummilux 50mm F1.4 ASPH.を買っておけばもう他に何もいらない、と幸せになれます。
特徴としては圧倒的に美しいボケです。
開放からピント箇所は恐ろしくシャープに写りますが、その前後へのデフォーカス感の滑らかさといったら素晴らしいです。
現状、このボケの滑らかさに対抗できるMマウント50mmレンズとしてはアポズミクロン50mm以外に無いかと思います。
ライカを使用する方はカメラとレンズの大きさをかなり気にする人が多いかと思います。
正直、オールドのライカレンズと比べると大きいです。
ですが、デジタルボディとのマッチング感がハンパないので、使っていれば大きさは気にならなくなります。
参考に、現行ライカレンズの人気どころの大きさを比較してみます。
左から、
APO-Summicron-M 50mm F2.0 ASPH.
Summilux-M 50mm F1.4 ASPH.
Summilux-M 35mm F1.4 ASPH.
です。
ね、段々とサイズに対する感覚が麻痺してきません?w
私も最初は現行のズミクロン50mm 4th シルバーを使用していました。
最大の理由は「ズミルックスデカ過ぎ」だったんですが、ズミクロン→ズミルックスと買い換えて、違和感を感じたのは使った最初の1回だけでした。
今では逆に、中途半端なサイズ感のズミクロンのほうがルックス的にどうなの?とか思うようになってます(´ω`;)
慣れとは恐ろしいですね・・・w
フードを内蔵しているおかげでスラっと伸びたルックスも非常にカッコイイです。
段々と感覚が麻痺してきません?w
Leica M (typ240)に取り付けるとこのような感じになります。
M240系のカタログもズミルックスを取り付けたお姿で撮影されているだけあって、その見た目は秀逸です。
この真上から見た感じ、デジタルM型のデブっちいボディの印象を和らげてくれます。
フィルムM型ライカのボディーにズミルックスを取り付けると、逆にボディーが痩せ細って見えて不格好に感じます。
Carl ZeissからOtus 55mm F1.4が発売されて、色々と比較されています。
実際の所、両方持っている人は少ないかと思います。
MTFが公開されているのですが、焦点距離も違うし、測定してるF値も違うので直接比較は厳しいのですが、参考にはなるのかなあと。
Summilux 50mm F1.4 ASPH.のMTF曲線(上から 5lp/mm、10lp/mm、20lp/mm、40lp/mm)
Otus(APO-Distagon) 55mm F1.4のMTF曲線(上から10lp/mm、20lp/mm、40lp/mm)
APO-Summicron 50mm F2.0 ASPH.のMTF曲線(上から 5lp/mm、10lp/mm、20lp/mm、40lp/mm)
実線ががサジタル方向、点線がメリジオナル方向です。
カールツァイスのオータスに、ズミルックスは四隅が勝てません。
ただ、中央付近のボケはズミルックスのほうが綺麗そうですね。
オータスがライバル視すべきはむしろアポズミクロンかと思いますが、アポズミクロンのF5.6は圧倒的と言わざるを得ない・・・。
そもそも、レンズ自体の大きさが全然違いますし、レンジファインダー用のレンズと一眼レフ用のレンズということで、比較すること自体が無意味な気もします。
どれもMFですが、用途が違うんですよね・・・。
オータスがあるから、ズミルックスが〜、アポズミクロンが〜、とはならないかと思います。逆もまた然り。
Leica M9 + Summilux-M 50mm F1.4 ASPH. 6bit (F2.8にて撮影)
M9は好感度に弱く、正直な所、実用できるのはISO400までだと思います。
F1.4が実用に耐えうるズミルックスであれば、夜間はF1.4のISO400、シャッタースピード1/30に固定で常時戦えます。
Leica M9 + Summilux-M 50mm F1.4 ASPH. 6bit (F4.0にて撮影)
オールドレンズを持っていてデジタルM型ライカを手に入れてはみたものの、「うーん、こんなもん?」とか感じてる人は是非とも現行レンズを使って欲しいです。
オールドレンズもそれはそれで素晴らしいですが、ボディーに秘めたるポテンシャルをMAXに引き出すにはやっぱり現行レンズです。
Leica M (typ240) + Summilux-M 50mm F1.4 ASPH. 6bit (F1.4にて撮影)
このレンズは開放の写りが絶品なのです。
絞っても良いですが、出来る限り絞りを開けて撮ったほうがズミルックスらしさが出ます。
Leica M (typ240) + Summilux-M 50mm F1.4 ASPH. 6bit (F4.0にて撮影)
モノクロ現像しても非常に良い結果が得られます。
Leica M (typ240) + Summilux-M 50mm F1.4 ASPH. 6bit (F1.4にて撮影)
絞りを開ける状況って、暗い所が多いかと思います。
開放だとやっぱり四隅は結構落ちるんですが、暗所であればあまり気になりません。
Leica M (typ240) + Summilux-M 50mm F1.4 ASPH. 6bit (F2.0にて撮影)
絞り明け気味で高周波な物をボカすとグルグルするのはやむ無しか。
だが、それがいい。
Leica M (typ240) + Summilux-M 50mm F1.4 ASPH. 6bit (F5.6にて撮影)
階調もよく残るので、RAW現像も楽しくなります。
オールドレンズは中間の階調が豊か、とか言われますが、実際の所、ダイナミックレンジの上下を切り捨てるような写りになります。
14bitをフルに使いたいのであれば現行レンズ一択です。
Leica M (typ240) + Summilux-M 50mm F1.4 ASPH. 6bit (F4.0にて撮影)
絞ってしまえば超絶優秀な50mmレンズとなります。
Leica M (typ240) + Summilux-M 50mm F1.4 ASPH. 6bit (F1.4にて撮影)
M240はベース感度がISO200なくせにSS最速が1/4000と、開放が使いづらいです・・・が、ちょっとオーバー気味になってもRAW現像でなんとかできるレベルに階調は残ります。
Leica M (typ240) + Summilux-M 50mm F1.4 ASPH. 6bit (ND8フィルター使用 F1.4にて撮影)
安心して開放で使いたいのであればNDフィルター必須です。
夏場の強い太陽光を考えるとND8は欲しいです。
このズミルックスをディスる人ってほぼ居ないかと思います。
素晴らしいとしか言いようが無い写りをしてくれます。
強いて言うと、そのおかげで面白くない、という贅沢な意見がある程度でしょうw
世界中で大絶賛される理由は・・・・使えば分かるとしか言いようが無いです・・・(´ω`;)
50mmレンズ1本だけで全部撮れ、と言われたら、何も迷わずズミルックス50mm ASPH.です。
最初の1本としても、最後の1本としても、ベストアンサーの一つかと思われます。